個人再生での再生計画の認可・不認可決定について解説。神奈川県厚木市・横浜市の法律事務所が管理しています。

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Q.再生計画の認可・不認可決定とは?

個人再生手続きでは、借金を減額してほしいという再生計画をつくります。それが債権者の決議や意見聴取後、裁判所が認可・不認可の判断をします。

今回は、この認可決定・不認可決定について解説します。

この記事は

  • 個人再生で借金を減らしたい
  • 不認可が心配

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.6.28


個人再生計画の認可決定

個人再生手続きで、再生計画を出し、認められる場合、裁判所で認可決定が出されます。

書面決議によって、債権者に可決された再生計画案の後、裁判所は再生計画案の承認を判断する役割を果たします。

小規模個人再生も通常の民事再生と同様に、債権者による再生計画案の可決だけでは即座に再生計画が有効にはなりません。裁判所の認可決定が確定した時点で初めて効力が発生します。

認可決定が出てから、確定までは約1ヶ月です。

 

再生計画の不認可決定

個人再生でも、再生計画が認められない、不認可の決定が出されることがあります。

小規模個人再生における不認可の理由は、民事再生法231条2項等に書かれています。

通常、債権者によって再生計画が可決された場合、再生計画は原則として承認されますが、次のような事由があると、裁判所は不認可の決定を下さなければならないとされています。

・再生手続きや再生計画が法律の規定に違反しており、修正ができない場合(ただし、違反が軽微な場合は除く)。
・再生計画の遂行見込みがない場合。ただし、住宅資金特別条項が定められた再生計画案については、再生計画が実行可能でないと判断される場合に限り、不認可の決定となります。裁判所は、再生計画による弁済が履行可能であると積極的に認定する必要はなく、履行可能性がないと判断される場合には、他の不承認事由がない限り、承認しなければならないとされています。住宅ローン条項との違いは、消極的か、積極的かの違いです。
・再生計画の決議が不正手段によって成立した場合。
・再生計画の決議が債権者の一般的な利益に反する場合。再生計画によって定められた計画弁済総額が破産手続きにおける配当総額(清算価値)を下回る場合が典型的な例です。清算価値の判断は再生計画の認可時点を基準とするものとされています。
・再生計画案が住宅資金特別条項を含んでおり、再生債務者が住宅の所有権または住宅の用に供されている土地を住宅の所有権を失うことが予想される場合。
・ 再生債務者が将来的に持続的または反復的に収入を得る見込みがない場合。これは、再生債務者が失業や病気により将来の返済能力を失った場合が典型的な例です。これも履行可能性の問題といえるでしょう。
・無異議債権および評価済債権の総額(住宅ローン以外)が5000万円を超える場合。上記の債権の総額が5000万円を超えると、小規模個人再生の要件(法221条)を満たさないことになります。申立て時の債権者一覧表では再生債権の総額が5000万円以下であったが、債権の届出や調査の結果、再生債権が増加したり、別除権付債権などで不動産の評価額が減少したため、抵当権付き不動産の担保価値不足が増大した結果、再生債権の総額が5000万円を超える場合が該当。
・ 最低弁済額を満たしていない場合(同項3号・4号)。
・債権者一覧表に住宅ローン条項提出意思があるとの記載をしたのに、再生計画に住宅資金特別条項の定めがない場合

 

不承認により個人再生終了

裁判所が再生計画を不認可決定を下し、確定した場合、小規模個人再生手続きは終了します。

小規模個人再生が不認可により終了した場合、債務者が破産手続き開始前の再生債務者であった場合、裁判所は、再生債務者に破産手続き開始の原因となる事実があると認めた場合には、不認可決定の確定を待たずに破産手続きの決定を職権で行うことができるとされています。牽連破産と呼びます。

しかし、実務上は、債務者の意思に反して破産決定がされることはほとんどなく、債務者にて、再度の個人再生の申立や任意整理への変更、自己破産の申立などを検討することが多いです。

牽連破産を希望する場合には、その旨の上申書を提出するなどして手続きを進めてもらうことになるでしょう。

 

認可決定・不認可決定への不服申立て

裁判所が再生計画の認可・不認可決定を下した場合、再生債務者および届出再生債権者には、その決定等の文書が送達されます。

再生計画に関するこれらの決定に対して、再生債務者および再生債権者は、直ちに抗告することができます。ただし、抗告期間は、裁判所の通知を受けた日から1週間となります。

 

 

認可決定の効力

小規模個人再生手続は、再生計画の認可が確定することで終了します。

法的には、再生計画の認可が確定した場合、再生債権に関しては、再生計画の一般的な基準に従って権利が変更されます。再生計画のとおりに支払がされなくても、認可決定の確定で減額効果は生じるのです。

ただ、再生計画が履行されないと、再生の取消などにより減額された債権が元に戻ることはありえます。


具体的な数字を見ると、確定債権額が500万円、免除率が80パーセントの再生計画が認可された場合、再生計画による弁済額は100万円に変更されます。

認可確定の時点で、400万円のカットが生じます。

ただし、個人再生では、通常の民事再生と異なり、再生債権の実体的確定手続は適用されません。再生計画の債権額は、手続内確定と言われます。事例はほとんどありませんが、後に、民事裁判などで争うことができるとされています。

 

再生計画認可と保証人への影響

再生計画は、再生債務者およびすべての再生債権者のために効力を生じます。

一方で、再生計画は、別除権者の担保権や再生債務者の保証人となる他の債務者に対しては影響を及ぼしません。

また、物上保証人の担保にも影響を与えないとされています。

したがって、主債務者が小規模個人再生を申し立て、債務が減額されても、連帯保証人の債務は減額されずに、そのまま残ります。


個人再生の相談については、事例豊富なジン法律事務所弁護士法人に、ぜひご相談ください。

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