個人再生の上限額5000万円要件についての解説。神奈川県厚木市・横浜市の法律事務所が管理しています。

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Q.個人再生の5000万円要件とは?

個人再生では、債権額に上限があります。

いくらまでの借金で使えるかというと、5000万円です。

5000万円要件と呼ばれるものです。これを解説します。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.5.22

 

動画での解説はこちら。

 

 

個人再生の限度額は5000万円

個人再生と5000万円要件についての話です。

個人再生手続は民事再生法で決められた借金減額の制度です。

裁判所に申し立てをして、借金を減らしてもらう手続きです。

この個人再生を使うには、借金などの債務総額が5000万円を超えないことが要件とされています。

 

これを超えてしまうような債務総額の場合には個人再生手続を使えないことになります。

ただ、この5000万円という基準は、どのように判断するのか、いくつか問題がありますので、それを解説します。

 

住宅ローン条項の住宅ローンは除く

個人再生では、住宅ローンをそのまま払うなどして、他の借金だけを減らすという手続が認められています。

住宅ローン条項と言います。住宅ローンは減額されませんが、住宅ローンを払うことで自宅を維持できるという制度です。

自宅は大事なので、最低限、これは守らせてあげようという法律です。

多くの方は、住宅ローンを契約どおり支払うのですが、それ以外に、住宅ローンの返済期限を延ばしたり、他の借金を支払っている期間だけ減らすなどの特殊な支払も可能です。

Q.個人再生の住宅ローン条項とは?

 

いずれにせよ、住宅ローン条項を使う場合の住宅ローンは全額の支払いが必要です。

この住宅ローン条項の住宅ローンは、5000万円要件から外します

たとえば、普通の借入金が3000万円、住宅ローンが3000万円という場合にはトータルで6000万円ですが、住宅ローンを省くのでこの5000万円要件に関しては、大丈夫です。個人再生を使えます。

住宅ローン以外で、5000万円を超えるかどうかという話です。

 

ただし、住宅ローンでも、住宅ローン条項を使わない場合は、普通の借金と同じように5000万円基準に入ってきます。

たとえば、家は競売、任意売却などで手放す、住宅ローンの残りが1000万円あるというような場合、これは住宅ローン条項を使うものではないので、5000万円基準に含まれます。

 

遅延損害金、延滞金が加算される

借金などの債務は、通常、遅れると遅延損害金の請求がされます。

5000万円の基準の際には、この遅延損害金も含まれます。

元金だけではなく、利息や遅延損害金を含んだ金額で5000万円を超えるかどうかが判断されます。

 

返済を止めてかなり時間が経っているような場合、遅延損害金が発生しているので、トータルで金額がいくらくらいになりそうか調べる必要があります。

また、もともと、5000万円に近い金額の場合には、少しでも遅延損害金を減らさなければならないので、早い申立が必要です。

例えば、4900万円程度の債務があるような場合には、早急に申し立てをしたほうが良いことになります。

なお、弁護士に依頼した場合、受任通知によって支払は止まり、事実上、督促はされませんが、法的には遅れていることになりますので、遅延損害金は発生し続けています。遅れは発生しているので、この間に債権者から裁判を起こすことも認められています。

弁護士に頼んだだけで安心というわけでなく、申し立て書類の収集なども急いで進める必要があります。

 

過払い金の計算、消滅時効の援用後の金額

5000万円要件の基準となる債務は、法的に支払義務がある債務の総額です。

弁護士などへの相談前に見かけ上ある債務とは必ずしも一致しません。

そこで、真実の債務がいくらなのか問題になります。

 

たとえば、過払金などで問題になる利息制限法。

この計算で過払い金の計算などをした場合には、見かけ上よりも借金が減ることもあります。

この場合、減ったあとの金額が正しい金額です。これが5000万円基準の金額になります。

 

相談時に、見かけ上の借金が5000万円以上あるという場合でも、取引が長いような場合には、過払金計算により、金額はもっと低かったということもありえます。

過去にさかのぼって年18%を上回るような利息を長い間払っていたような場合には、この計算をしてみる価値があります。

 

同様に、消滅時効の援用などで支払い義務をなくせた債権は含みません。個人再生の申立時に債務が残っている金額が基準です。

 

別除権による支払い見込額は外す

この5000万円要件からは別除権による支払見込額も除かれます。

これは事業者・自営業者の方などの担保による支払い額と考えれば良いです。

別除権とは、担保にとっている物がある場合、債権者は、倒産手続きとは別に担保を行使し、そこから回収できる権利です。


例えば、事業で使っている車に対して、所有権留保がされている場合。

個人再生の前提となる事業を継続するため、その車のローンについては、別除権協定を結んで払っていくケースがあります。

その場合、車の価値部分の支払については、もともと別除権という担保の部分での支払となるので、他の債権者には影響しません。

 

このような別除権でフォローされる部分の債権についても、5000万円基準からは外されます。

 

個人再生申立前に親族債権の免除

個人再生では、すべての債権を平等に扱います。

そのため、親族、知人からの借り入れも債権者一覧表に記載し、含めなければなりません。

すべてが減額対象となります。

このような親族からの借り入れを含めると5000万円を上回るというケースもあります。

 

この原則は、個人再生手続での原則となりますので、裁判所への申立までに、親族や知人が事情を理解してくれ、債権を放棄したり、支払い義務を免除してくれた場合には、債権ではなくなりますので、外すことができます。

 

紛争性がある債権

債権者が過大な請求をしてきているというケースもあります。

実際は2000万円なのに、4000万円の請求をしてきている、4000万円を前提とすると、5000万円要件でオーバーしてしまうというケースが問題になります。

債権額については、本来、民事訴訟などで確定してもらうのが望ましいのですが、それまで個人再生を待てないこともあるでしょう。

このような過大請求の場合には、こちらの主張額を債権者一覧表に記載して申立をしてしまうという方法もあります。

 

例えば、交通事故の損害賠償金などで相手方の主張が過大請求という場合、自身が考える適正額、裁判で認められそうな金額を載せて申立をしてしまうこともあります。


こちらの主張金額を債権者一覧表に載せた申立をすると、債権者側が主張する金額で債権届がされる可能性が高いでしょう。

裁判等で未確定の場合、申立人が債権届に対して異議を出すと、債権者が金額に固執するならば債権者の側から評価の申立てをします。

その後、個人再生委員を選んで金額の確定をする流れです。

ここで決まった金額が再生計画案などの基礎金額となります。

ただ、この額は、手続内確定と呼ばれるもので、あとから正式に民事裁判を起こされて変わることもあります。

 

 

以上、5000万円要件に関する争点を取り上げてみました。金額が高い個人再生を検討している人は参考にしてみてください。

個人再生については、事例豊富なジン法律事務所弁護士法人に、ぜひご相談ください。

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