
FAQ(よくある質問)
FAQ(よくある質問)
Q.2021年4月の神奈川県の個人再生の清算価値変更点とは?
神奈川県での個人再生手続で、2021年4月、裁判所から清算価値の運用変更がアナウンスされましたので、解説しておきます。
預金、保険、退職金、自動車に20万円基準が導入されました。
清算価値が高かった人には、メリットがある変更です。
動画でも解説しています。
個人再生とは
個人再生手続とは裁判所に申し立てをして、裁判所で認めてもらい、借金を大幅に減らしてもらう制度です。
減った借金を3年間で分割払いにすることだけで済むようにしてもらう制度です。
3年間という期間は、特別な事情があれば5年間まで延長できます。
支払いが厳しそう、そのままだと破産になってしまいそうな人を、早めに救済するための制度です。
債務整理のなかでは、交渉で解決し分割払いにする任意整理と、借金をゼロにする自己破産の中間のような制度になっています。
裁判所への申し立てが必要だったり官報に掲載されたりするというところは個人再生でも自己破産と同じ扱いです。
個人再生の減額はいくらから
どれぐらい借金が減らせるのかというポイントの一つに清算価値基準というものがあります。
借金を減らせる基準はいくつかあります。そのいくつかの中の一番高いところが採用されます。
これが個人再生手続きのルール。
借金が減る基準の一つが、弁済額基準と呼ばれるもの。
これは借金額から自動的に決まります。
例えば借金が500万円~1500万円の人は、借金の5分の1。
500万円の借金なら100万円に。
1500万円の借金なら300万円に。
なお、借金額が500万円を下回るような場合、たとえば、400万円のような場合には、5分の1まで減額されません。
最低支払額が100万円と決められています。そのため、100万円が弁済額基準となります。
このように、借金の金額によって弁済額基準は変わります。
このような弁済額基準と清算価値基準の2つの基準を比較をして高い方が最低支払い額になります。
清算価値基準とは
では、清算価値基準は何かというと、財産の総額と言われます。
自分が持っている預金や保険、不動産、退職金見込額、株式、仮想通貨などの総額です。
この2つの基準を比較することになります。
ただし、個人再生の手続によっては、もう1つ基準が追加されます。
3つ目の基準です。可処分所得基準と呼ばれるものです。
給与所得者等再生の場合の可処分所得基準
個人再生手続には2種類あります。
- 小規模個人再生
- 給与所得者等再生
の2つの手続です。
給与所得者等再生手続は、債権者の過半数が反対しても通る強い手続きです。
多くの場合、債権者は反対してこないので、小規模個人再生を使う人が大半です。
ただ、個人債権者が多いとか、債権額の過半数を1社に握られているなど、反対リスクが高いときには、この給与所得者等再生を使います。
この場合は、清算価値、弁済額基準とあわせて3つめの基準である可処分所得基準も満たす必要があります。
可処分所得基準は、過去2年分の額面収入から税金や住居費等を控除して自動的に算出される金額です。
高収入の人や、扶養家族が少ない人は、高く算出されてしまいがちです。
小規模個人再生では、基準が2つ。
ただし、給与所得者等再生の場合には、3つ。
このうちの最大の金額を払わなければなりません。
個人再生の減額の具体例
小規模個人再生の場合、2つの基準を比べて高い方を採用します。
例えば、借金が500万円までの場合の弁済額基準は100万円。そのような人の清算価値が150万円であれば、150万円が採用されます。
150万円を3年間などで払っていかなければなりません。
逆に、弁済額基準は150万円で清算価値が100万円の場合には、弁済額基準の方が高いので150万円を分割して払っていくことになります。この場合に、清算価値が200万円であれば、200万円が支払い基準になります。
給与所得者等再生の場合には、ここに可処分所得基準が加わります。
可処分所得が300万円という例だと、上のどのケースでも、300万円を払わなければならなくなります。
逆に、可処分所得が90万円という例だと、上のどのケースでも支払い額は変わりません。
このように個人再生で支払い金額を決めるもの、どこまで減額されるかを決めるポイントの一つが清算価値基準です。
神奈川での清算価値の運用変更点【2021.4】
この清算価値の運用が神奈川県を管轄する横浜地方裁判所で変更されたと発表されました。
2021年4月に発表された内容です。
実は、この清算価値の細かい決め方は、裁判所の運用に委ねられています。
個人再生をする裁判所によって、扱いが全く違うのです。
東京、大阪、横浜で全く違う運用がされていたり、時期によって違ったりします。
そのため、書籍やネット上の情報も、どこまで自分の地域に合致するかをチェックする必要があります。
2021年4月の変更ということで、4月5日には神奈川県弁護士会サイトにも、新しい清算価値チェックシートや記載要領の書類データがアップされています。
誰でも確認ができます。
今回の変更点は、債務者に有利な変更です。
預金、保険解約返戻金、退職金見込額の8分の1、自動車の各財産について、項目ごとに20万円までは、0円と評価して良いことになりました。
清算価値基準の趣旨からの変更
財産以上の支払いをしなければならない。
このような清算価値基準が採用されたのは、基本的には自己破産との比較からです。
自己破産の場合には、債権者は債務者の財産がお金に代えられ、そこから配当を受け取ることができます。
このような配当との比較で、個人再生が自己破産より債権者に不利益になってはいけないと配慮されたのです。
ところが、自己破産でも、最低限の財産は残さないと生活に支障をきたすという理由で、一定金額までは、財産を残すことが認められています。
運用で、預貯金や保険、退職金見込額の8分の1、車などは項目ごとに20万円までは自由財産と同じように扱い、売却しない扱いとされているのです。
自己破産でこのような運用がされているなら、個人再生でも同じように返済基準から外してよいのではないかという扱いです。
この運用は他県では採用されていましたが、神奈川では公の基準にはされていませんでした。しかし、今回、本格的な運用として採用、公表されたものです。
運用変更の影響が出る人
運用変更の利益を受けられる人にとっては、最大80万円の違いが出ます。
これは、もともとの基準だと清算価値が高かった人です。
弁済額基準の方が高かった人(財産が少なく清算価値が少なかった人)は、清算価値の評価が下がっても影響ないです。
逆に、清算価値が高かった人、10数万円の預金や保険、退職金、車などで清算価値が積み上がっていた人は変更後の運用の方が有利です。
理論上は、20万円✕4の80万円の違いが出ます。
例えば、借金の弁済額基準が100万円という人。
500万円の借金があって100万円に減らすというのが弁済額基準です。
その際の清算価値が、不動産からローンを引いた金額や、株などの有価証券など他の財産で100万円があったとします。
そのような人が、預貯金総額が20万円、保険解約返戻金総額が20万円、退職金見込額が160万円(8分の1に評価され20万円)、車の査定価格がちょうど20万円でしたという場合、清算価値が合計180万円とされていました。
そのため、支払い額は180万円でした。
しかし、今回の運用変更で、後者の4つの財産の評価額は0になります。そのため、支払い額は100万円で済みます。
その差が80万円。
依頼している専門家にも確認を
神奈川県弁護士会のMLでは流れている情報なので、おそらく弁護士であれば大丈夫だと思うのですが、他県や情報に疎い専門家に依頼している場合には、昔の運用で清算価値を算出してしまうリスクがあります。
自分の利益はしっかり自分で守るため、該当しそうな人は、清算価値をしっかりチェックしておきましょう。
運用変更のまとめ
神奈川県内の個人再生事件の清算価値算出方法が変更になりました。
預金、保険、退職金、車は20万基準が採用され、ここまではゼロと評価。
従前、清算価値が高く、個人再生での支払い額が高くなりそうだった人には、影響があるので、計画案提出前に金額をチェックしましょう。
個人再生については、最新の情報もチェック済みのジン法律事務所弁護士法人に、ぜひご相談ください。