FAQ(よくある質問)
FAQ(よくある質問)
Q.個人再生でのファクタリング利用の場合は?
自営業者の個人再生で、ファクタリングが問題になることがあります。
ファクタリングにも色々あるので、契約内容を検討する必要があります。ファクタリングを利用している人で個人再生の相談に来る場合には、ファクタリングに関する契約書も持ってきた方が良いでしょう。
この記事は
- 自営業者で個人再生を検討中
- ファクタリングを利用している
という人に役立つ内容です。
ファクタリングとは
ファクタリングは売掛金などの権利を現金に換える手法です。
法的には「債権譲渡」によって現金化する仕組みです。
債権譲渡とは、売掛金債権などの債権を他の人に譲り渡す契約です。
ファクタリングでは、ファクタリング業者が、売掛金債権などの債権を買い取ります。
ここで債権譲渡し、その買い取り代金を受け取ることができます。これで現金化です。
債権譲渡ですので、本来は、ファクタリング業者が売掛先から回収するはずです。しかし、そこまではせずに、支払いは従前どおりとし、その後に売掛先から回収した金額は、ファクタリング業者に支払うことが多いです。
最近では、事業用のサービスにファクタリングが組み込まれている事例もあります。
ファクタリング手数料
ファクタリング業者も営利事業をしています。
業者の利益は、債権譲渡の際に手数料を差し引くことです。
10~20%などの金額を割り引いて、債権の買取代金を支払うのです。
債権譲渡通知は出さないのが原則
債権譲渡の場合、本来は、債務者に対し債権譲渡通知を送り、自身で回収します。
譲渡通知の代わりに債権譲渡の登記も使われます。
しかし、多くのファクタリング業者では、債権譲渡通知や登記はしていません。
このような債権譲渡通知をされると、取引先からは信用不安の声が出てきてしまいます。
ファクタリングをしなければならないほどの、経営状況なのか、と不安がられ、取引が打ち切られてしまうこともありえます。
このように売掛先に知らせずにファクタリングを行う方法を2社間ファクタリングと呼びます。
これに対し、原則通り債権譲渡通知を送って取引先の支払い先をファクタリング業者に変更するような方法は3社間ファクタリングと呼ばれます。
給与ファクタリング
売掛金を対象とするのは事業者向けのファクタリングです。
この仕組を使った給与ファクタリングが出てきました。
給与ファクタリングとは、会社員等が職場に対する給与債権をファクタリング業者へ売却するという理屈です。
しかし、給与は、労働者に払わなければならないとされており、債権譲渡が予定されているものではありません。
給与ファクタリングは、金融庁から実質的には貸付であると意見が出され、これを理由に無効であるとの裁判所の判決も出されています。これにより、多くの業者が給与ファクタリングから撤退しています。
事業者向けファクタリング
給与ファクタリングは違法性が認められやすいのに対し、事業者の売掛金のファクタリングについては、債権譲渡ができるため、直ちに貸金として高利や貸金業登録を理由に無効とまでは認められていません。
裁判例でも、取引の実態を見て貸金に近いと判断しているものもありますが、判断が分かれているのが実情です。
ファクタリングを装うヤミ金業者
給与ファクタリングでも問題になりましたが、お金の流れを見ると、実質的には貸金と見える事案も多いです。
その手数料率を利息換算すると、出資法違反の利率になることも多いです。
そこで、ヤミ金業者がファクタリングを装って取引を持ちかけることもあります。
裁判例で違法だと認定されている事案としては、実態を主張し、実質的にはヤミ金融であると認定されている事案が大部分です。
個人再生とファクタリング
個人再生手続きを進めて行くなかで、このようなファクタリングを利用している場合、当事者間の整理が必要です。
違法なファクタリングであれば、除外すれば良いのですが、債権債務関係が不明瞭なことも多いです。
まず、前提として、個人再生では、住宅ローンなど特殊な債権を除き、すべての債権者を同じように扱います。
ファクタリング業者に対して、何らかの債務を負っているような法律関係の場合には、受任通知を発送することになります。
2者間ファクタリングでも、支払停止などがあると債権譲渡通知を出されることもありますので、ファクタリング契約の内容を確認しておく必要があるでしょう。
個人再生と売掛金ファクタリング
個人再生では、財産は清算価値となり、これ以上の支払いが必要になります。
未回収の売掛金は清算価値に含まれます。
債権譲渡をしておきながら、債権譲渡通知が出されていない場合の売掛金は、対抗要件との関係で、再生手続の中で申立人の財産といえるかどうかが問題になるでしょう。
履行可能性とファクタリング
ファクタリングを利用している場合には、履行可能性の要件も問題にされやすいです。
ファクタリングを利用しているということは、事業の資金繰りが厳しいということです。
事業自体から十分な利益が出ていないと判断される可能性がありますので、資金繰り表などで説明が必要になるでしょう。
自営業者の個人再生については、事例豊富なジン法律事務所弁護士法人に、ぜひご相談ください。