個人再生中の転職に関するリスク、注意点を解説。神奈川県厚木市・横浜市の法律事務所が管理しています。

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Q.個人再生中の転職リスクは?

個人再生中に転職をして良いか、転職しないといけなくなった、などの相談もよくあります。

転職して良いのか、個人再生手続に与える影響などを解説していきます。

この記事は

  • 転職を含む個人再生を検討中
  • 個人再生中に転職を考えている

という人に役立つ内容です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2023.2.22


個人再生とは

個人再生は、自己破産に次ぐ債務整理手続きの一つです。

裁判所への申立をし、借金額や財産額に応じて、債務の一部を免除し、残りを分割返済する手続きです。

個人再生によって、毎月の返済額や借金総額を減らしてもらうことができ、経済的な苦境から立ち直ることができます。


個人再生の手続きと条件

個人再生の手続きは、まずは弁護士に相談するなどして、裁判所への申し立てをします。

手続きに必要な書類を準備して申し立てに進みます。

個人再生を行うには、債務者が次の条件を満たす必要があります。

債務者自身に一定の収入があり返済能力を持っていること

このままでは支払ができなくなるおそれがあること

債務総額が5000万円以下であること


個人再生中の転職活動

個人再生をしたからといって、職業選択の自由が制限されるものではありません。

個人再生を行ったことで就職先に影響することはありません。

また、個人再生中に転職することは可能です。

しかし、収入が大きく変動する場合には返済できるかどうか、履行可能性の審査に影響が出ることはあります。

個人再生の準備中や、申し立て直前、裁判所での手続中の転職については、弁護士に相談しながら進めないとリスクが高いです。これに対し、裁判所への申し立て後、再生計画案が認可されて返済中の時期には、返済が続けられるのであれば転職も自由です。裁判所への報告も必要ありません。

やむを得ない急な転職であれば仕方がないですが、時期を選べるのであれば、リスクについて弁護士に確認してから決断した方が良いでしょう。


個人再生中の転職活動のポイント

個人再生中に転職活動をする場合、まずは個人再生に関する情報を正確に把握しましょう。

個人再生の手続きのなかで、どこにいるのか、これから裁判所で審査があるのかを確認します。

裁判所の審査での問題点は大きく2点あります。

1つ目は、履行可能性の問題です。借金を減らせば払えるかどうかの審査です。収入が大きく減ったような場合には、当初の見積よりも家計収支が悪化してしまいます。転職後の収入から借金を払えないのであれば、履行可能性の要件で個人再生が認められなくなってしまいます。

家計簿と個人再生

次に、個人再生の手続きのうち給与所得者等再生を利用する場合です。収入の変動が大きい場合には、給与所得者等再生の要件を満たすのかどうか審査されることになります。

個人再生の審査が終わった再生計画案の認可後であれば、このような問題はなくなります。

手続きのどのタイミングでの転職であるかがポイントになるのです。

 

職務経歴書・面接での説明方法

転職活動の際には、自分の債務状況や個人再生の手続中である事実を申告する義務はありません。

個人再生での裁判所での決定は官報に載る情報ですので、そのような情報を確認する業界であれば転職活動に影響が出る可能性はあるでしょう。

そうでなければ、プライベートな情報であるため説明を求められることもないのが通常です。

 

個人再生中の転職における不利な点

個人再生中に転職活動を行う場合、個人再生手続きで主に収入面で審査が厳しくされるリスクがあるのはお伝えしたとおりです。

これ以外に、退職金の財産問題があります。

個人再生手続きでは財産以上の支払いをする必要があります。清算価値と呼ばれます。この財産には退職金見込額のうち8分の1も含まれます。退職金見込額は、現在、退職したらいくら退職金が支給されるのかという金額です。

このうち8分の1だけが個人再生では財産としてカウントされます。

退職金見込額には、もともと差押禁止部分が含まれているほか、実際には退職していないので、割り引かれて評価されます。

しかし、実際に退職時期が決まっていたりすると、不確定な割引がなくなり、4分の1と評価されます。

さらに、退職金を受け取ってからの個人再生申し立てだと、預金と評価され、全額が財産とされる可能性もあります。

転職自体は自由にできるのですが、以前の職場で退職金が支給される場合には、個人再生で財産としてカウントされる金額が増え、場合によっては支払い額が増えてしまうリスクがあります。

この点からも転職タイミングについては弁護士に相談しながら進めるべきでしょう。

 

就職先での個人再生の資料

個人再生では、このように退職金制度の有無や、収入を示す資料が必要です。

個人再生の申立直後に転職しなければならなくなったような場合、給料明細が発行されていないことも多いでしょう。

そのような場合、当面の収入資料として、雇用契約書や雇用条件通知書などを提出することもあります。

これらの資料の保管や、場合によっては、求人案内の情報なども保管しておくようにしましょう。


個人再生中の転職で気をつけるべきこと

個人再生中の転職は、多くのリスクがあることが説明されましたが、適切な対処法や準備があれば、問題が発生するリスクは減らせます。

個人再生中の転職において注意すべきポイントは、次のようなものがあります。

事前に弁護士に相談する:個人再生手続き中に転職を考えている場合は、まずは弁護士に相談しましょう。個人再生の手続きのなかで、どのタイミングなのかによって、リスクは変わります。

転職タイミングによっては、個人再生の申立時期を遅らせる必要が出てきます。その場合、受任通知で支払を止めていた債権者から裁判を起こされるリスクが高まります。

そのようなリスクがどの程度なのか、相談して判断する必要があります。


職場での対応策:職場での人間関係やストレスなどが転職原因の場合、転職先でも同様の問題が起こる可能性があります。個人再生の準備中などに複数回の転職があれば、履行可能性の審査でより厳しく判断されることになります。

再生計画の履行:個人再生の支払中に転職をする場合、再生計画の履行が困難になる可能性があります。転職により収入が減ったり、支出が増える場合には、減額してもらった借金の返済ができなくなるリスクも高まります。転職によって、家計収支がどう変わるのか慎重に検討しましょう。

リスク


個人再生中に転職し支払ができなくなった場合、再び債務整理はできる?

個人再生での再生計画の支払は計画どおりにしなければなりません。

これが遅れた場合の対応は、債権者次第です。債権者によって、再生の取消などの申立ができる場合もあります。

Q.個人再生の取消とは?

そのような手続きがされないのであれば、理論的には再生計画による減額効果は取り消されません。

自身で返済計画を再開する方法が考えられます。

また、厳しい要件ではありますが、事情によっては、再生計画の変更や、ハードシップ免責が使えないか検討してみても良いでしょう。

 

 

個人再生と転職に関する実例・事例紹介

個人再生中に転職する人は、様々な背景や理由があります。

例えば、業績不振による解雇や、職場での問題、家庭の事情などが挙げられます。

失職で再就職できず収入が得られない場合には個人再生自体が認められなくなりますが、転職後も返済可能な家計であれば、最終的には個人再生は認められます。ただ、その過程では失敗事例といえるものもありますので、紹介しておきます。

●個人再生中に転職した場合の失敗事例

Kさん 30代男性の事例

個人再生自体は認められていますが、準備中に転職などがあり、必要書類の取得に時間がかかりすぎていた事例です。そのため、債権者から裁判所への法的手続をとられ、もう少しで差し押さえなどされてしまう状態でした。


●個人再生中に転職した場合の成功事例

Yさん 40代女性の事例

転職直後に、給与所得者等再生の申立をして認められた事例です。

債務の原因や支払ができなくなった理由が以前の職場にあったため、転職もやむを得ないと認められています。

A さん 40代男性の事例

個人再生の準備中に転職。3ヶ月ほどの家計状況を見て、安定した返済ができる数字を示して、個人再生による減額を認めてもらっています。

 

就職支援サービスと個人再生中の転職活動のポイント

個人再生中の転職では、基本的に、転職後の収入がどうなるのかが大事です。

収入が増えるのであれば、個人再生での支払もラクになるでしょう。逆に収入が減るのであれば、支払ができないのではないかと不安視されることになります。

また、転職により引越が必要な話になれば、個人再生の対応裁判所が変わる可能性もあります。裁判所によって、個人再生委員の有無など運用も違うので、費用が変わるリスクもあります。

転職先の業種や職種、勤務地、待遇などを慎重に検討し、転職先の選定に時間をかけることが大切といえます。

転職エージェントを利用する際には、個人再生中であることまで伝えないにしても、家計状況を把握し、最低限の必要な収入は伝えるようにしましょう。

 

個人再生中に転職する場合の基本的な考え方

個人再生中に転職を考える場合、まずは自身の借金の状況をしっかりと把握し、再生計画の中で転職をどのように組み込むかを考えることが大切です。

個人再生の手続きのスケジュールのなかで、どこにいるのか、転職で収入・退職金などの変化が、裁判所からどう判断されるのか検討する必要があります。

転職先の企業側には、雇用形態や給与などについてもしっかりと確認しておくことが必要でしょう。

スケジュール予定

 

個人再生中に転職するためのアドバイス

個人再生中に転職を考える場合には、まずは担当弁護士に相談してください。

個人再生の手続中、転職タイミングが変わることで、どのような影響があるのかを把握しましょう。

そのうえで、どのようなリスクがあるのか確認し、転職の判断要素とするべきでしょう。

もちろん仕事をどうするのかというのは人生において大事なこと。個人再生の手続きよりも優先したいという考えは否定しません。

ジン法律事務所弁護士法人でも、個人再生中の転職の相談を受けたこともありますし、転職後に個人再生が成功した事例もあります。ベストな選択をするためにも、しっかり相談するようにしましょう。

 

転職を含む個人再生については、事例豊富なジン法律事務所弁護士法人に、ぜひご相談ください。

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