
FAQ(よくある質問)
FAQ(よくある質問)
Q.個人再生手続での中止命令とは?
個人再生手続きでは、強制執行、差押を一時的に止める中止命令という制度があります。
この中止命令など関連手続きについて解説します。
この記事は
- 個人再生の申立をしたい
- 差押が個人再生でどうなるか知りたい
という人に役立つ内容です。
強制執行の中止
個人再生の申立後、再生手続の開始が決定されると、再生債権に基づく強制執行は行えなくなります。弁済も禁止されます。
すでに開始されている強制執行は中止されます。
ただし、これらの法的効果は再生手続開始の申立てがあっただけでは自動的には、発生しません。
申立から再生手続き開始決定までの間に、強制執行がされると不公平な結果になってしまうこともあります。
そこで、個人再生の申立てから開始決定までの間、中止命令や保全処分の制度が準備されています。
債務者の財産が散逸するのを防ぐ趣旨です。
このような命令には、以下のようなものがあります。
中止命令
他の手続の中止命令があります。強制執行の中止命令などです。
民事再生法法26条1項によれば、裁判所は、個人再生の申立てがあった後、必要と判断した場合には、申立人や職権で、各手続の中止を命じることができるとされています。
中止される手続きは、強制執行のほか、仮差押え、仮処分、留置権による競売も含まれます。
また、債務者に対する破産手続も中止の対象です。
さらに、行政庁に係属している債務者の財産関係の事件も対象とされます。
このような中止命令が出たら、中止の決定正本を、執行裁判所に提出しなければなりません。裁判所でも担当部署が違うため、中止命令が出たからといって、強制執行等を担当している部署がこれを認識できるものではありません。担当部署に中止決定の連絡をしないと、内容が伝わらないのです。
包括的禁止命令
これは、全般的に競売等を禁止する命令です。
裁判所は、個人再生申立てがあった場合に、中止命令だけでは再生手続の目的を十分に達成できないと判断した場合、申立人や職権で、開始決定までの間、すべての再生債権者に対して、再生債務者の財産に対する再生債権に基づく強制執行、仮差押え、仮処分、または担保債権による競売手続を禁止する命令を出すことができるとされています。
中止命令は、基本的には具体的な事件を止めるものです。特定の債権者が申立をしている特定の手続きを止めるものです。
これに対して、包括的禁止命令が使われるのは、個別の中止命令では足りないような場合です。
ただし、これは債務者の主要な財産に対して民事再生法30条1項に基づく保全命令を事前にまたは同時に行った場合に限るとされています。
個人再生の実務ではほとんど使われませんが、強制執行等をされると大きな損害が出るような場合に使われるものでしょう。
債務者の財産を仮差押え
裁判所は、個人再生申立てがあった場合、利害関係人の申立や職権で、開始決定までの間、債務者の業務および財産に対して必要な保全処分を出すことができるとされています。
保全処分には、仮差押や仮処分が含まれます。
仮差押は、通常は、債権者からの申立で、本差押をするために必要な裁判手続き中に財産を処分されてしまうと困るということで、仮に、財産を押さえる制度です。これが個人再生でも使われるものです。
担保権実行の中止命令
裁判所は、個人再生申立てがあった場合、再生債権者の一般的な利益に適合し、かつ競売申立人に不当な損害を及ぼす恐れがないと判断した場合、利害関係人の申立や職権で、一定の期間、債務者の財産に関する特別の先取特権、質権、抵当権または商法による留置権の実行としての手続の中止を命じることができるとされています。
ただし、担保される債権が共益債権または一般優先債権であるときは、この限りではありません。
一般の強制執行以外に、担保権の実行手続きも中止命令の対象ということです。
抵当権の実行手続の中止命令
裁判所は、個人再生申立てがあった場合、住宅資金特別条項を定めた再生計画の認可の見込みがあると判断した場合、債務者の申立てにより、一定の期間、住宅または債務者が所有する住宅の敷地に設定されている住宅資金貸付債権または当該債権に関する債務者の債務を保証する抵当権の実行手続の中止を命じることができるとしています。
住宅ローン条項を使う場合に、抵当権者が競売の申立をしている場合に使う手続きです。
通常は、抵当権者が競売を申し立てる前に、代位弁済までされているでしょうから、代位弁済後の巻き戻しを利用する場合にこの制度を利用することがあります。
代位弁済後の巻き戻しは、6ヶ月以内に個人再生の申立が必要です。この期間に、競売の申立までされてしまっている場合には、巻き戻しによる個人再生の申立と合わせて、この中止命令の申立をすることがあります。
競売申立までされてしまうと、この中止命令の制度はあるものの、競売費用の負担を求められたりすることも多いです。代位弁済後、巻き戻し制度を使うのであれば、保証会社等と協議し、巻き戻しの個人再生の申立予定であることを伝え、早期に協議を開始し、競売申立を待ってもらうのが良いでしょう。
個人再生の相談については、事例豊富なジン法律事務所弁護士法人に、ぜひご相談ください。