FAQ(よくある質問)
FAQ(よくある質問)
Q.個人再生をすると退職金はどうなりますか?
将来の退職金はもらえますが、現在の退職金見込額の資料が必要になります。
また、現在の退職金見込額が高い場合には、個人再生での支払い額が高くなることもあります。
個人再生と退職金
個人再生手続の申立をしても、退職を強要されることはありません。
職場に退職金制度がある場合、個人再生をしても、将来、退職した場合には、個人再生の影響はなく通常どおり退職金は出ます。
もっとも、個人再生では、最低限、財産額以上の支払をする必要があります。
ここでいう「財産額」には退職金が含まれます。個人再生の申立をした「現在、退職したら退職金はいくら出るのか?」という額を出し、神奈川県ではこれを8分の1に評価して財産額に計上します。
つまり、いま退職すると退職金が160万円出る、他の財産は100万円、という場合、退職金の8分の1、すなわち160万÷8=20万円を他の財産100万円と合算し、財産額は120万円と評価します。
最低120万円以上の支払が必要になります。
退職金の一部が清算価値になる理由
再生計画においては、法律で清算価値の保証が必要とされています。
自己破産でも、本来、退職金の内、差押禁止範囲を除外した部分(4分の1)のみが破産財産になります。
除外に関しては民事執行法152条にあります。個人再生でも自己破産と同じ程度の返済は必要になるので、この4分の1は除外されます。
さらに、破産手続開始時に実際に退職していない場合、退職金の不確実性(勤務先が倒産する可能性や解雇される可能性)があるため、多くの裁判所では、さらに半分の減額をし、破産手続開始時点で、自己都合退職した場合の退職金額の8分の1を支払えば良いとされています。これが8分の1の根拠です。
個人再生でもこの基準を採用する裁判所がほとんどです。
退職金が支給される場合は4分の1
再生計画認可時に、すでに退職していたり、退職が確定し近々退職金が受けられると予想される場合、退職金の不確実性がなくなるため、8分の1基準が採用されている裁判所でも、 4分の1の基準にされます。
さらに、すでに支払いがされていると、現預金となるので、4分の1の減額もなくなってしまいます。
個人再生の手続中に、退職し、退職金をもう受け取った場合や、近い将来退職する予定で、退職金が支給されると予想される場合はどうなるでしょうか。
この問題は、清算価値保障原則の基準時点をどのタイミングと考えるかで結論が変わります。
基本的な考え方は、個人再生での清算価値の基準時点は、再生計画認可時とするものです。この考えによると、退職金を受け取った場合、受け取った金額全体が対象となるのが原則です。
退職金の清算価値まとめ
そもそも退職予定がなく、受取日が未定の場合は、将来的に退職金が受け取れるかどうか確実ではありません。
そのため、現在の退職金見込額の8分の1に減額された金額が清算価値に加算されます。
ただし、実際の割合は裁判所によって異なる場合があります。
退職金は勤続年数によって増えることが多いため、個人再生時点での退職金見込額で計算します。 一部の裁判所では、「20万円を超える退職金のみ清算価値にする」との運用がされています。
神奈川県でもこの運用です。
8分の1の金額が20万円を超えない場合は、個人再生では0と評価されます。
次に、退職金を受け取る日が決まっている場合は、退職金受給予定額の4分の1を清算価値に加算するのが一般的です。不確実性がなくなるからです。
最後に、すでに退職金を受け取っている場合は、「預貯金」や「現金」として取り扱われるので、差押禁止部分の減額もなくなり、全額を清算価値に入れることになります。
退職金の個人再生での証明資料
個人再生の申立の際には、退職金の金額を証明する書類を職場で出してもらうか、退職金規程の写しを入手して計算根拠と金額を出していく必要があります。
「職場から退職金証明書がもらえない、もらいにくい」という人は、退職金の計算根拠となる退職金規程や給料明細の写しがあれば、計算根拠を文章にして報告書として提出することで対応できます。
公務員の方や大企業にお勤めの方は、退職金が高額になるケースもあります。あらかじめ、およその退職金額を確認しておいた方が良いでしょう。
自己破産や個人再生の必要書類で、会社に退職金額を聞きにくい人は、
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退職金制度がない人
退職金なしという条件で働いている人は、そのような証明書がもらえればベストですが、雇用契約書や雇用条件通知書、会社の求人情報などで退職金なしということを証明することができます。
これらの退職金の証明については、財産とみなされ、清算価値に上乗せされることから、証明を求められるものです。
そのため、明らかに財産が少なく、借金の5分の1などの弁済額基準の方が大きいことが明らかで、勤務年数が短い場合には、退職金証明書などを厳しく求められない可能性も高いです。
なお、退職金と言いつつ、企業年金の場合には、確定給付企業年金法や確定拠出年金法で差し押さえが禁止されていることが多いです。このような財産は清算価値に含めない、加算しない運用です。
これは小規模個人再生手続、給与所得者等再生手続の両方に当てはまります。
退職金の取り扱いについて間違えてしまうと、必要以上に支払い額が高くなってしまうリスクがありますので、ぜひ専門家に相談しながら進めるようにしてください。