養育費の滞納がある場合の個人再生、債権者一覧表、再生計画案、弁済方法について解説。

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Q.養育費の滞納があっても個人再生はできますか?

未払の養育費があっても、個人再生自体はできます。

ただし、養育費は、個人再生でも減額されません。

なるべく滞納解消しておいたほうがわかりやすいですが、滞納自体はあっても、進めることはできます。

 

この記事は、

  • 養育費も滞納している、個人再生をしたい
  • 養育費をもらう側。相手が個人再生をした。どうなる?

という人に役立つ内容です。

弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.5.8

 

動画解説はこちら。

個人再生と非減免債権

自己破産と同じく、個人再生でも、非免責債権・非減免債権などと呼ばれ、減額されない債権があります。

具体的には、

  • ・悪意による不法行為の損害賠償請求権
  • ・故意又は重過失で人の生命・身体に対する不法行為をした場合の損害賠償請求権
  • ・養育費などの扶養料請求権

です。

養育費が含まれていますね。

このような、非減免債権があっても、個人再生自体は使えますが、支払方法がややこしくなりますので、注意が必要です。

 

養育費は未払い分と将来分を分けて対応

養育費は減額されないのですが、未払い分と将来の支払分をわけて考えます。

養育費は、毎月発生するので、過去の未払い分と、日々発生していく分を別に考えないといけないのです。

 

再生手続開始決定の時点で、未払となっている滞納分については、3~5年間の弁済期間中は、一部を分割払いにし、弁済期間満了時に残額を支払うことになります。

すぐに払うのではなく、他の借金と同じように、3~5年間は一定割合だけを払うことになるのです。

再生手続開始決定は、裁判所に申し立てをして、最初にもらえる決定です。

個人再生の流れ

 

未払い養育費の債権者一覧表への記載

未払い養育費も、他の債権者と同じような扱いになるわけです。

そのため、未払分は債権者一覧表に記載します。

個人再生は、5000万円の債務まで使える、という要件があります。養育費の滞納分もこの金額に加算されます。

 

債権者一覧表に載りますので、相手方(元配偶者)の氏名・住所を債権者一覧表に載せる、裁判所からの通知、再生計画案なども送られることになります。

 

将来の養育費はそのまま支払う

過去の未払い分については、債権者一覧表に載せ、分割払いとなりますが、将来分は違います。

再生手続開始決定後の養育費は、日々あたらしく発生するものですので、その都度払うことになります。

未払いではないので、債権者一覧表にも載りません。

そもそも、過去の未払い分、滞納がないのであれば、元配偶者は債権者になりません。そのため、債権者一覧表にも載らず、裁判所からの連絡もいきません。

 

未払い分の減額されなかった部分は一括支払に

過去に滞納していた未払部分で先送りされた部分は、弁済期間満了時に、残りを全額払わないといけませんので、弁済期間中に積立をしておくなどする必要があります。

金額が大きい場合には、注意が必要です。

もちろん、そのタイミングで借金はできません。

 

未払い養育費の再生計画案への記載

なお、再生計画案には、次のような記載をします。

・ 民事再生法229条3項各号に掲げる再生債権について
再生債務者は、各再生債権者に対し、上記・・・の一般的基準に従って弁済し、弁済期間が満了する時に、弁済期間内に弁済をした額を控除した残額につき弁済する。


再生計画案の記載も、通常の債権とは異なる点にご注意ください。

 

未払い養育費の個人再生での支払イメージ

具体的な支払例です。

  • 滞納養育費 90万円
  • 月額養育費 3万円
  • 再生計画案による返済率20パーセント

という場合、弁済期間3年間に支払う滞納養育費額は、

90万円×20パーセント=18万円
3年間の支払は、18万÷36カ月=月額5000円となります。

このほかに、毎月発生する3万円は別途支払う必要があります。

また、3年経過後に、90万円-18万=72万円の支払が必要です。

そのため、毎月2万円程度の積立を別途しておく必要があるのです。

養育費

未払の養育費がある場合でも個人再生は使えますが、返済期間終了時の支払が高くなりますし、減額もされませんので、なるべく養育費は遅れずに支払っておいた方が良いでしょう。

このような支払われ方だと、養育費を受け取る方も計画が立てにくいでしょうしね。

 

未払いの養育費がある状態での個人再生は、特殊な条項を使うことになりますので、専門家に相談しながら進めるようにしてください。

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