FAQ(よくある質問)
FAQ(よくある質問)
Q.自営業者が個人再生の申立てをする際の注意点は?
自営業者も収入があれば個人再生手続を使えます。
自営業者特有の注意点を解説します。
収入と履行可能性をしっかり主張する必要あり
自営業者の場合、会社員の給料のように保証された基本給がありません。不安定な収入となります。
そのため、履行可能性の要件を満たすことをしっかり示していく必要があります。
全員が提出する家計の状況以外に、事業での資金繰り表を提出します。帳簿を元に作成するので、ある程度、会計情報が整備されていないと申立が大変になります。
また、財産や債務に関して、売掛金、買掛金がある場合には、注意が必要です。
買掛金について
取引で発生する買掛金も債務になります。
自己破産では、買掛金の取引先も債権者一覧表に載せて支払い義務をなくします。個人再生でも、同じように債権者一覧表に載せる必要があります。
支払を停止したにもかかわらず、開始決定前に買掛金だけを支払うことは、偏ぱ弁済となり、不公平と言われます。
この場合、個人再生での返済額の基準となる清算価値(財産価値)に、不公平弁済をした額を上乗せしないといけなくなる可能性が高いです。
2021年の神奈川県内の運用では、引落が止まらなかったり、申告を忘れて、支払停止の受任通知から漏れてしまった貸金業者への返済、引落も、偏頗弁済だとして、清算価値に上乗せさせられています。
買掛金の金額が大きい場合や、支払停止後、申立てまでに時間がかかる場合、一定の財産がある場合には、支払額が増えてしまう可能性が高いです。
申立てをした場合には、事業の継続に必要なものは、裁判所の許可をもらい、共益債権という形にして支払うことが可能です。
買掛金がある場合には、支払を止めるタイミングを調整したり、申立てを急ぐ必要があるといえます。
売掛金について
開始決定時までに発生した売掛金は財産として算定することが多いです。
つねに多額の売掛金を持っている営業状態の場合には、清算価値が上がることで、支払額が多くなってしまうリスクがあります。
売掛金の金額を示す書類として、請求書などを提出することになります。
自営業者の個人再生では、申立をするタイミングによって支払い額が大きく変わりますので、会計処理、経理の数字がわかる専門家と相談しながら進めた方が良いでしょう。
最低限の簿記の知識レベルがないと、危ない申立になってしまうことがありますので、注意してください。