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FAQ(よくある質問)

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Q.個人再生委員とは何ですか?

個人再生手続では、手続を適正に進行するため、個人再生委員の制度が作られています。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.29

この制度を使うかどうかは、裁判所によって違います。

神奈川県では、申立のときに弁護士に依頼していないケースでは個人再生委員を選任します。

また、弁護士に依頼していても、調査が必要と判断されると個人再生委員が選任されます。

神奈川県内でも、本庁か支部かによって、個人再生委員を選任するかどうかの基準は違っています。

法律上の解釈について個人再生委員の意見を聴くことが望ましいと考えられる事案、財産調査について申立人の調査が不十分な事案、履行可能性について調査する必要がある事案、自営業者の事案について提出資料からは収支が不明確な事案などで、選ばれやすいと言われます。

 

最近では、住宅ローン条項の可否など法律上の問題点がある場合に、選任されるケースが出てきています。

 

東京地裁では、すべてのケースで個人再生委員を選任する運用がされています。神奈川県でも、最近は、個人再生委員を選任しようという動きが強くなっています。

 

2020年7月の横浜地方裁判所のアナウンス

2020年7月に横浜地方裁判所から、個人再生委員の選任についてアナウンスがされました。

代理人弁護士の申立てによる個人再生申立事件について、現在まで、第3民事部再生係では原則として個人再生委員を選任しない扱いとしていたものの、近時の傾向として、清算価値の算定や履行可能性の判断について微妙な判断を要する案件が少なからず見受けられると。

また、代理人弁護士の申立てであっても、必ずしも十分な調査・報告がされているとはいえない申立てが増加しているとも指摘されています。

 

そこで、裁判所としては、清算価値の算定や履行可能性の判断について微妙な判断を要する申立て、また、申立て内容が不明瞭な場合や十分な補正が行われなかった申立てについては、代理人弁護士の申立てであっても、個人再生委員を選任する場合があるので、ご理解、ご協力をいただきたいとのアナウンスです。

清算価値や、住宅ローン特別条項の利用などについては、法的な解釈が問題になるケースも少なくありません。

裁判例等が確立していない問題で、少しでも有利な申立をしようとする場合には、個人再生委員が選任されるケースも出てくるでしょう。

もちろん、後者の十分な調査や報告がされているとはいえない申立については弁護士の怠慢ですが、法的に難しい問題を抱えているケースも少なくなく、ジン法律事務所弁護士法人でも民事再生法の条文解釈に関する意見書を出すようなケースで、個人再生委員が選任されているケースもあります。

裁判所がこのようなスタンスですので、難しい問題を含むケースでは、費用負担が発生することも出てくるでしょう。

 


個人再生委員の仕事は、

  • 履行可能な計画案が提出されるように必要な勧告を行うこと
  • 収入及び財産に関する再生債務者の報告書等の検討を行うこと
  • 開始要件や認可要件についての意見を述べること

です。

個人再生委員と個人再生手続き

法的な問題について、申立代理人と個人再生委員が協議しながら手続を進め、その過程で問題点が出た場合に、裁判所が関与するという扱いになります。裁判所は、その際に、個人再生委員の意見を聴いて判断することになります。


個人再生委員を選任する裁判所では、申立ての時点で、細かい書面の記載までは求めず、委任状や基本的書面だけ提出し、その後に個人再生委員に必要な書面を提出すれば良いとされるところもあります。

裁判所は、個人再生委員から開始相当や認可相当の意見書が出されれば、基本的にその内容に従って決定を出すことになるでしょう。

個人再生委員の費用と履行テスト

個人再生委員を選ぶとなると、その費用の支払が必要になります。

神奈川県では18万円とされています。こちらを準備できないと、手続きが進まないことになります。

 

東京地裁では、この費用について、履行テストを兼ねて支払をさせる運用をとっています。

すなわち、再生計画案で支払う予定額を分割予納金として、通常は6か月間、個人再生委員の口座に毎月送金するのです。この支払ができたら、認可決定が出ます。

この分割予納金から15万円等の個人再生委員報酬が控除されます。

残額が申立代理人に返還されます。これを弁済資金等に使うことはできます。

通常の民事再生手続においては、認可決定確定後3年間は、監督委員の監督を行うこととされており、これと同趣旨の運用と言われます。

このような運用だと、個人再生委員を選任しないケースよりも、手続き終了まで時間がかかることになります。

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