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FAQ(よくある質問)

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FAQ(よくある質問)

 

Q.住宅の所有権移転がある場合は?

個人再生では、住宅ローンだけは特別条項を使うことで、そのまま支払い続け、他の借金だけを減額するという方法が可能です。

これにより、自宅を維持することができる制度です。

ここで、自宅の所有権の名義が移転した場合にどうなるのか問題になるケースもあります。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.29

個人再生で住宅の所有権移転があった場合は?

個人再生へ手続きで、住宅の所有権移転があった場合の話です。

住宅について相続や離婚の財産分与などで、所有権者が変わった場合に、個人再生の住宅ローン条項が使えるかという問題です。

個人再生手続きは裁判所に申し立てをして借金を減らしてもらう制度です。

通常の借金は、すべて公平に何十%カットなどの扱いがされます。
しかし、住宅だけは維持することが認められ、住宅ローン条項を使うと、住宅ローンだけはそのまま残し、競売を避けられます。

住宅ローンだけが例外とされています。

 

住宅ローンの支払いは?

多くの場合には、住宅ローンは、元の契約通りの支払を続けます。


仮に遅れている場合にはこれを元に戻したり、支払の終期を延長したり、個人再生の返済期間中だけ支払い額を減額したりということもできますが、住宅ローンの金額自体は減額されません。

 

住宅の名義チェック

このような住宅ローン条項をつけた個人再生については、あくまで自宅を守る趣旨です。

自分の家でなければダメで、投資物件などは対象外です。また、他人の家であれば利用できません。

 

そのため、住宅の名義がどうなのかチェックされます。

個人再生の申立の際には、法務局で取得する不動産の全部事項証明書(登記簿謄本)を提出し、自分名義の物件であることを示す必要があるのです。

この登記上の名義が誰か、を裁判所はチェックします。

ただ、不動産の名義は変わることがあります。

他人に売る売買のようなもの以外に、離婚や相続などで名義を変えることもあるでしょう。

 

この場合、名義がいつの時点で自分のものでなければならないのか、時系列で考える必要があります。

個人再生までの流れとして、住宅を建てた時点と、個人再生の時点とが考えられます。

 

個人再生の時点での名義は?

個人再生は自宅を守る趣旨なので、個人再生の時点で、自宅の名義は再生を申し立てる人の名義でなければなりません。
これは、一部の共有でも問題ありません。


そのため、個人再生の時点で、住宅を誰かに完全に譲渡してしまっているような場合は、個人再生の住宅ローン条項は使えません。

離婚による財産分与で譲渡してしまってから、個人再生をしたいというような場合には、自宅ではないので、住宅ローン条項つきの個人再生は利用できないことになります。

たとえば、財産分与で夫から妻に自宅を譲渡し、名義変更。ローン名義は変えられていない。

このような場合に、夫が多重債務となり、個人再生を使いたい、住宅は、子供のためにそのまま残したい、と考えても、住宅は妻名義となっているので、住宅ローンをそのまま支払う特別条項付きの個人再生は使えないのです。

 

また、離婚の財産分与で、自宅の所有権をすべて引き継いだ場合でも、住宅ローンが他人名義であれば、住宅ローン条項つきの個人再生は使えません。
住宅ローンが自分の債務ではないためです。


たとえば、夫が住宅ローンを組んで自宅を購入、妻が財産分与でこれを取得、ローンは夫が払い続けるという場合で、妻が住宅ローン条項つきの個人再生を利用できるかというと、自分の住宅ローンでないので、使えません。

 

建築当時の名義は?

次に、相続のケースであり得るのが、建築時は親名義の住宅にして、自分が住宅ローンを組んでいたようなケースです。
その後、親から相続を受けて、住宅名義も自分、住宅ローンも自分、という場合に、個人再生の申立ができるかという問題です。

この場合には、個人再生時点で、住宅も住宅ローンも自分名義なので、住宅ローン条項の利用ができるという考えが主流です。


民事再生法では、建築時の名義については要件とされていません。

文献の中には、自宅を建築するのは、通常自分だろうから、原則として建築時も自分名義でないといけないというものもありますが、民事再生法にそのような記載はないことから、住宅ローン条項の利用は認められると考えられています。

また、このような文献でも、例外的に住宅ローン条項の利用ができる場合もあるとしており、よほどのことがなければ、申立はできると考えられます。

 

 

文責:弁護士石井琢磨(神奈川県弁護士会所属)

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