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FAQ(よくある質問)

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Q.小規模個人再生で債権者の調整は許される?

小規模個人再生では、債権者の意向が重要なポイントです。

そこで、債権者を増やしたり、金額を調整したりする行為が許されるのであれば、やりたいという人が多いです。

しかし、認められないとする裁判例もあり、どこまで許されるのか曖昧です。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.29

 

小規模個人再生における過半数の反対


まず、小規模個人再生の申立てでは、給与所得者等再生と異なり債権者の反対があると通らない手続です。

債権者の過半数が反対すると減額の再生計画案が通りません。

過半数とは、頭数の過半数、金額の過半数どちらかです。

頭数は、5社いたら3社ということです。

金額の過半数は、500万円だったら250万超ということです。

2020年までの個人再生の運用を見るに、反対業者はそこまで多くないのが実情です。

とはいえ、今まで反対してこなった業者が、突如反対してきたりということはあります。

金額、借り入れ経緯、事案を見て反対ということもあります。

 

このような実務では、頭数の過半数が反対して小規模個人再生が通らないことはさほど多くありません。

よほど少数債権者のケースを除いて、偶然、複数社が反対して失敗するということはそこまで多くないです。

それよりは、むしろ、金額の過半数の反対による失敗のほうが多いです。

 

金額の過半数による反対

債権者の1社が過半数をにぎっている場合には、生殺与奪権は、その債権者が握っています。

1000万円の負債総額で個人再生をする際に、500万円以上を1社が占めている場合、その債権者が反対するだけで認可されません。

このような場合、その債権者が反対してくるかがポイントになります。

過去の事例で反対してくる業者なのであれば、警戒できます。給与所得者等再生と金額を比較して検討することができます。

しかし、過去に反対しなかった業者が、過半数をにぎっているケースで、突然反対してくることもあります。

債権回収会社でもそのようなような動きに出てくることがあります。

 

また、2社で過半数を握られている場合も、リスクを意識したほうが良いです。

たまたま2社が反対して、認可されないということもあります。債権者の中には、いつ反対してくるか、検討せずにたまに反対してくるという消費者金融もあり、ランダム性であるとしか考えられない動きをする業者もあります。

 

事前に意見を出す業者も

主要債権者の中には、個人再生の申立前に意見を出してくることもあります。

小規模個人再生の申立がされたとしても反対する、というような意見表明を事前にしてくるパターンです。

債権者の中には、申立前に積極的に問い合わせをしても教えてくれない業者も多いです。

上記のように、方針が決まっていないランダム性の場合には、事前に教えてくれることはないでしょう。

これに対し、一定条件の下では、すべて反対する意向という場合には、事前に表明してくることもあります。

中には、聞いていないのに債権調査票に記載してくる業者もいます。

 

過去に、公務員が仕事の関係の共済組合から借りていたケースでは、このような事前表明がありました。

性質上、多額の融資を受けていることが多く、過半数債権者になることもあるので、職場の関係で融資を受けている人は注意が必要でしょうでしょう。

 

弁済による調整は?

ここで一つの解決策が思いつきます。

債権調査の結果、反対しそうな1社の債権者が総債権額の過半数、たとえば51%程度の債権額を持っていることが判明したとします。

 

給与所得者再生では、可処分所得基準により弁済額が大幅に上がってしまうという場合、なんとか小規模個人再生を使いたいというケースもあります。

 

このようなケースで、この債権者の債権額を、過半数より下げられないかというアイデアがあります。

過半数を有する債権者にあえて一部を偏頗弁済し、たとえば、49%程度の債権額にする、半数未満にして小規模個人再生をすることです。

偏頗弁済をすれば、清算価値にその分が計上されます。

 

理論的には、これにより、この債権者だけが反対しても、再生計画案は否決されなさそうに思えます。

 


ただし、個人再生を含む民事再生では、「申立てが誠実になされたものでないとき」(民事再生法25条4号)など否定されることがあります。

明確な規定はないものの、このような抽象的な規定が適用されると判断されるリスクがあります。

 

頭数の調整により否定されたケース

それ以外に、民事再生法202条2項4号(174条2項3号)が問題になったケースがあります。

最決20.3.13と最決H29.12.19です。

 

頭数を増やすために、本来は一つだった債権を分割譲渡して債権者の数を増やしたというケース。

また、虚偽の疑いある大口債権者による債権届出があり、他の債権者に過半数をとらせなかったケースです。

 

このような行為と、一部の債権者に偏頗弁済して調整する点を比較して検討することになるかと思います。

 

 

親族による第三者弁済は?


債務者本人による偏頗弁済より、問題が少なさそうな方法として、親族等による第三者弁済があります。

親族等に第三者弁済してもらい、その親族等を債権者として債権者一覧表に載せるアイデアです。

債務者自身の財産が減るものではないので、偏頗弁済とも違い、債権者間の不公平も発生しない行為となります。

強いて言えば、一部弁済の場合には債権者の数が増えるので、その調整をしたのではないかという目でチェックされることにはなります。

その点での影響がないのであれば、債務者自身による偏頗弁済よりは遥かに無難な選択肢となるでしょう。

親族などの第三者からの援助が可能な場合には、検討に値する方法といえるでしょう。

 

 

 

文責:弁護士石井琢磨(神奈川県弁護士会所属)

 

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