裁判例
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不誠実な申立による再生手続開始決定の取消し事例
高松高等裁判所平成17年10月25日決定です。
個人再生ではなく、会社の民事再生手続のケースですが、申立が不誠実だとして、再生手続開始決定が取り消され、棄却されてしまったというケースです。
民事再生法25条4号では、「不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。 」には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならないとされています。
会社の民事再生だけではなく、個人再生の場合でも、不当な目的や不誠実な申立は許されるものではありませんので、参考までに紹介しておきます。
この件では、民事再生の申立をする1か月以上前には、取締役会で再生申立をおこなうと決議したところ、その後も継続的に仕入をし、申立日の前日に、額面合計5000万円の融通手形の振り出しを依頼し、受領したとされています。
また、申立後の対応も、代表取締役が債権者説明会に欠席したり、申立代理人と連絡を取らなかったりなど問題行動をしていたというものです。
このような点で、再生債権者との関係でも、裁判所に対する関係でも不誠実な申立とされてしまっています。
個人再生でも誠実な対応は必要です。
「以上検討したところによれば、本件再生手続開始の申立てに至る経緯、同申立て後から本件再生手続開始の決定、そして、現在に至るまでの間の相手方(特に相手方代表者)の態度は、再生債権者に対する関係のみならず、裁判所に対する関係でも不誠実極まりないものというほかなく、民事再生法25条4号にいう「申立てが誠実にされたものでないとき」に当たると認めるのが相当である。」