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個人再生の巻き戻しと競売費用の共益債権

大阪高等裁判所平成25年6月19日判決です。


個人再生手続では、住宅ローンを滞納し、保証会社に代位弁済されても、6か月以内の申立により、この代位弁済がなかった状態に巻き戻すことが認められています。

資金繰りなどのハードルは高いですが、うまくいけば、住宅を残すことができる手続です。

ただ、このような代位弁済がされてしまった場合、保証会社は、抵当権を実行し、競売の申立をすることもあります。

この競売の申立がされても、代位弁済から6か月という期限をクリアしていれば、巻き戻しが認められ、競売手続は取り消されます。


このようなケースで、保証会社は、競売の申立費用を負担しています。

この費用の支払を再生債務者に求めて来ることがあります。

競売費用が、再生手続でどのように扱われるべきなのか、判断された事案です。


この裁判は、保証会社から再生債務者に対して、競売費用の請求を求める訴訟を提起したものです。

争点は、この競売費用の請求権が、民事再生法上の共益債権になるかどうかでした。

個人再生の手続上は、再生計画案にも共益債権の記載がされていませんでした。


このようなケースで、原審は、共益債権にはならないと判断しました。

保証会社が不服だとして、控訴しました。

大阪高裁でも、これは共益債権にならないとし、控訴を棄却したという事例です。

「仮に本件手続費用の請求権が本件抵当権の被担保債権であるとしても、前記説示のとおり(原判決引用部分)、民事再 生法が、共益債権の範囲について詳細な規定を有しているところ、競売手続が巻き戻しによって取消しになった場合の競売手続費用については、これらの規定の いずれの要件にも当てはまらないことから、これを共益債権と解することはできないというべきである。」

原審は、再生債権と認定し、再生計画案の適用を受けた減額がされること、再生計画による支払が終了した後に、その分を支払うことを命じています。


個人再生の場合には、住宅ローン条項を作成していくなかで、競売費用の取り扱いに合意することもあります。そのような合意が一切なく、競売費用に触れられることなく、再生手続が終了してしまった場合には、参考になる裁判例だと考えます。

 

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