不動産サブリースの個人再生事例を解説。神奈川県厚木市の弁護士事務所

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サブリースの個人再生ケース紹介

 

ケース紹介110  Rさんの事例 

厚木市在住 ( 自営業 / 50代 / 男性 )

借入の理由:サブリース 債務総額4000万円


厚木市にお住まいの50代の男性SEのケースです。

不動産投資、サブリース契約を複数してしまい、支払ができなくなったという内容でした。

個人再生委員として関与しています。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2022.8.13

 

借金の減額幅

4000万の借金が400万円まで減らせています。。

サブリース投資の失敗からの借金のため、金額が極めて大きくなっています。

複数の不動産投資をしている場合には、5000万円要件が問題になるでしょう。

 

自宅マンションの購入

前妻と結婚し、長女が誕生。翌年、横浜市泉区に自宅マンションを購入、長男も誕生していました。

当時、大手企業に勤務、年収1000万円程度の収入があったとのことです。

生活費や返済に窮することはありませんでした。

 

不動産投資に手を出す

その後、不動産投資に興味を持つようになり、10数年前から、ワンルームマンション投資を始めていきます。

3物件を購入後、一棟マンションの購入にも手を出しました。

しかし、その後、離婚調停の末に前妻と離婚。

離婚の条件として、養育費の負担と併せて、自宅マンションのローンを子どもたちが成人するまで支払い続けることとなり、大幅に家計を圧迫するようになりました。

 

再婚後に自宅の住宅ローン

その後、現在の妻と再婚、厚木市に現在の自宅である戸建てを購入。

勤務先を退職し、退職金1800万円を戸建て購入の頭金にしました。

その後、独立して自営業に。

 

サブリース契約

不動産投資については、ほとんどの物件で、サブリース契約が締結されていました。

各賃借人に転貸する形で賃貸経営をしていたものです。

しかし、賃料よりもローンと管理費・修繕積立金の方が高く、逆ザヤになっていました。

さらに、間に入った会社が、賃料を滞納するようになり、未払賃料も、380万円以上に。

これを理由に、サブリース契約を解除。民事訴訟を提起して回収を試みました。しかし、預金口座を差押えても、わずかな金額しか回収できませんでした。

 

サブリース物件の任意売却

不動産投資は徐々に厳しくなっておりましたが、賃料滞納により資金繰りは一気に悪化。

少しずつ物件を任意売却するなどして資金繰りを工面しました。

しかし、自力で再建することは困難であると考えるに至り、弁護士に、住宅資金特別条項付き個人再生を依頼したという経緯でした。

 

その後も、物件の修繕等の管理コストがかかることから、他の不動産も一部任意売却。

サブリース物件の評価や自営業ということもあり、個人再生委員選任となっています。

 

SEと履行可能性

個人再生では、履行可能性が要件とされます。借金が減れば払えるという可能性です。

自営業者の個人再生では、事業収入が続くのか、その安定性がチェックされます。そのために家計収支以外に、資金繰り表を提出するなどします。

今回の事例では、事業収入の継続性について聴取したところ、契約内容、業務内容からして返済期間中の収入については変動しない可能性が極めて高いことを確認しています。


また、最新の確定申告書を確認したところ、申立代理人作成の月別予定収支一覧表と大きな違いがないことを確認したています。

このような点及び一定の資産や妻の収入があることからしても、履行可能性は認められるとしています。


 

サブリース解除による債権

サブリース契約を解除する理由となった賃料未払。

これで訴訟提起もしているということですので、権利があります。

未回収の権利があれば、清算価値に加算され、再生計画案による支払金額にも影響が出ます。

しかし、差し押さえをしても回収できなかったなどの事情があることから、回収可能性は極めて低いという判断をしています。

未払賃料債権について、報告されている強制執行後、さらに債権回収を試みたものの、同社の悪質性が強く、同種の被害が発生していることが判明していることなどから、回収不能と評価して良いとの意見を出しています。

 

海外クラブ会員権の清算価値

その他に、会員権を持っていたため、この評価も問題になりました。

海外旅行などに行った際に、一部施設を利用できる権利を購入する人もいます。このような権利がある場合、それを個人再生手続きでどう評価するかも問題になります。

今回の事例では、クラブ会員権については、資金の支出は家族によるものであったこと、事実上、利用権の設定であったことが認められました。

書類には資金譲渡証明との記載がされているものでした。

ただ、仮に申立人に利用権以外の権利性が認められたとしても、同会員権の流通実態としては、現在、売却には売主側が資金を提供しなければ処分できないマイナスの性質であることが確認されていました。

そのため、換価価値はないものと評価されています。

 

 

別除権不足額の再生計画案

任意売却未了の物件が残っていました。

競売手続中であったものの、まだ売却がされていませんでした。

事情により、個人再生の申立を進めたとのことですが、このような不動産ローンについては、別除権付債権と呼ばれます。

Q.不動産競売終了前に個人再生をするリスクは?

 

担保から優先的に回収できる権利があるものの、その回収額が未確定です。

個人再生の対象になるのは、競売などで不動産から回収できなかった部分のみです。

このような未確定の場合、特別な条項を再生計画案に記載する必要があります。

不動産処理が未処理のまま進み、再生計画案提出のタイミングで、不足額が未確定の場合には、この点に関する条項を追記する必要があります。

任意売却等により不足額が確定したのであれば、その残額を基準に再生計画案を作成することになるでしょう。

 

 

個人再生での再生計画案による減額

約4000万円の借金がありました。

最低返済額10分の1相当である400万円に減額する再生計画案が認可されています。

清算価値に関しては、申立時点では色々と問題があったものの、最終的に大きな財産としては、車両310万円程度でした。

400万円を上回る財産はなかったため、清算価値は問題にならず、400万円を5年で支払う内容での再生計画案が認可されています。

3000万円の減額を受けられた結果となりました。

 

個人再生減額

 

 

厚木市にお住まいでしたので、横浜地方裁判所小田原支部での手続きとなりました。

サブリース投資に関する個人再生の依頼も多くありますので、借金でお困りの方はぜひご相談ください。

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