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ケース紹介78  Kさんの事例 

小田原市在住 ( 会社員 / 50代 / 男性 )

借入の理由:恐喝被害 債務総額2300万円


小田原市にお住まいの50代の男性のケースです。

消費者金融、クレジット会社に保証債務を含めて約2300万円の借金があるという相談でした。

著者 弁護士石井琢磨

 弁護士石井琢磨
 更新:2021.7.29

 

恐喝に対する支払い

もともとは、若い頃に交際していた女性から裁判を起こされたのがきっかけだといいます。

貸金返還請求訴訟でした。裁判所で和解が成立し、350万円を分割払いする約束に。

しかし、支払ができませんでした。


その後、暴力団を名乗る男性からこの請求をされました。

怖くなり、200万円程度を支払い。この男性は、また来ると言っていたのですが、刑事事件を起こして刑務所に入ったと聞きました。


これにより支払をしなくて済むと思っていたら、暴力団を名乗る別人から携帯に連絡が入り、女性の貸金の件を支払うよう求められました。

とりあえず会ったところ、「2000万円くらいは超えている」等と言われ、「きりがいいところで1000万円を準備しろ」と言われました。名刺等はもらえず、名前も分かりませんでした。


そのような請求を受けて、とにかく支払わなければならないと考え、元々カードを持っていた消費者金融、クレジット会社、銀行から借入をし、さらに、新たに申込みをして借入をして準備しました。

各社への最低返済額を計算すると、毎月の支払は10万円台だったので、仕事を頑張れば返せると考えていたそうです。

元々支払義務があるものだったので、警察に行っても仕方がないだろうと思い、相談には行かなかったとのことでした。

 

多重債務の原因として、犯罪被害ということも多いです。最も多いのは、詐欺被害ですが、なかには、このような恐喝の被害により債務を負担するということもあります。ただ、詐欺の場合は、多額の被害を受けやすいのに対し、恐喝の場合には、通常は、金額が上がると警察等へ相談することも多く、ここまで金額が多額になることは少ないといえるでしょう。

 

病気による減収

ところが返済計画はうまくいきませんでした。

この件でストレスもあったからか、精神状態が悪化してしまい、外出もできなくなり、薬も効かなくなり、仕事ができなくなってしまいました。

以前に組んでいた車のローンなども支払を止めるしかなくなり、全てのローンが払えなくなってしまいました。

その後、借金が理由で離婚、実家に戻り、家族の事業の従業員として稼働し、給料収入はあるという状態でした。

症状は落ち着いており、実家で住居費がかからないことから、個人再生で借金を減額できれば支払えるということでした。

負債総額が大きかった点やお金の流れに不鮮明なところがあったこと、恐喝相手の特定もできないことから、自己破産をした場合には管財事件になる見込みでした。

特に大きな財産はなかったのですが、管財事件を避けたいとのことで、個人再生を希望していました。

実家での居住を前提とすれば、履行可能性は認められる見込みだったことから、個人再生の申立を進めました。

 

再生手続の廃止

ところが、再生手続き中に問題が出てしまいました。

相談者が、別の病気を発症、仕事も日常生活も十分にできない状態となってしまいました。仕事ができないため、無収入になってしまっています。

再生手続きの開始決定が出て順調に積立を行っていたところの発症でした。

手続きのタイミングとしては、債権調査が終わり、再生計画案の準備をしていたところでした。

 

病気の症状を確認すると、医師によれば、良くて7割程度の回復はあり得るものの、回復まで3か月から1年程度かかるとのことでした。

残念ながら、個人再生の続行はできない状態となり、本人もあきらめました。

このような場合、手続きを廃止してもらうことになります。

「上記事情から、決議に付するに足りる再生計画案の作成の見込みがないと判断しましたので、再生手続の廃止決定をお願いしたく上申致します。」というような上申書を提出して、廃止決定をもらいます。

 

個人再生の失敗

今回は、本人の希望もありましたが、個人再生が失敗した例となります。

このようなタイミングで廃止決定をもらう例としては、このような病気の発症のほか、勤務先の倒産、事業の失敗、妊娠等による収入減、離婚、死別等の家族収入の減少等があります。

 個人再生が失敗する例

 

自己破産の申立

個人再生が廃止になった以上、借金はそのまま残ることとなります。

その解決方法として、一定期間様子を見て、家計が改善したら再度申立をすることも考えられます。

または、自己破産を申立、支払い義務をなくしてもらうという方法もあります。

今回は、病気の改善見込みも不透明なところが多かったことから、自己破産の申立をすることとなりました。

事情からして、管財事件となりました。

破産管財人に対し、破綻に至る経緯を詳細に説明、調査をしてもらったうえで、免責許可決定をもらうことができました。

個人再生としては最後までいけませんでしたが、借金問題は解決したというケースとなります。

 

 

小田原市にお住まいの方からの個人再生の依頼も多くありますので、借金でお困りの方はぜひご相談ください。

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