ケース紹介
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ケース紹介86 Aさんの事例
神奈川県藤沢市在住 ( 会社員 / 40代 / 女性 )
借入の理由:ストレス買い物、給料天引 債務総額800万円
藤沢市にお住まいの40代の女性のケースです。
うつ病の治療を続けながら、勤務を継続しているものの、支払いが厳しいという相談。
退職金や職場で加入した保険など一定の財産があるため、これを清算しなくて良い個人再生を希望していました。
ストレスで買い物
仕事でストレスが貯まると、カードを使って、洋服や雑貨などを購入するようになってしまいました。
職場と提携していたクレジットカードで買い物をしていたのですが、徐々に新しいカードを作り、買い物をするようになりました。
ストレスで買い物をしてしまうという人が、女性に多いです。
これが借金理由になっていることも多いです。
買い物による幸福は長く続かない
買い物によるストレス発散効果は、効果が乏しいとされています。
買い物などは、そのものが届くまで、手に入れるまでが幸福感を生み出すのであって、所有した後は一気に幸福感が薄れるとされていました。
そのため、買い物によるストレス解消効果は、長く続かず、コスパが悪いものとなっています。
そうすると、また買い物に走ることになります。
そのため、これを借金で補っていると、どんどん借金が増えてしまうリスクがあるのです。
性格によっては買い物でストレス解消に
このように、買い物は、ストレス解消効果としてはあまり良くないものと言われていました。
しかし、最近の研究では、神経症的傾向にある性格の人にとっては、買い物が幸福感を生み出すとう説も出てきています。
メンタル面が弱い人などは、買い物をすることで幸福になれるという側面もあるかもしれません。
ただ、収入が少ないなど、買い物に耐えられるお金がない人は、やはり借金に走ってしまう、メンタルが弱いと、借金でますますメンタルを病んでしまう悪循環に陥ってしまいます。
やはり、買い物ストレス解消後方法として使うのは望ましくなく、神経症的傾向にある性格の人も、性格改善や、他のストレス解消方法を使った方がより望ましいといえます。
うつ病の発症で買い物依存
数年後、うつ病と診断されてしまいます。
休職せずに仕事は続けながら治療をしていました。それ以降、定期的に通院をしています。
症状はそこまでひどくなかったので、仕事を続けることができていたものです。
しかし、この頃から、買い物の頻度も高くなってしまい、いらない物でもつい買ってしまうようになりました。
インターネットで数千円から1,2万円程度の雑貨や洋服を購入するようになりました。借金がどんどん増えて行きました。
精神面でお金の使い方が変わる
うつ病など、精神的な症状が出て、これを機に、お金の使い方が変わってしまうことがあります。
後から考えれば、全くいらないものを次々に買ってしまうケースもあります。
同居家族がいれば、このような異常事態に気づき、治療を進めることもできます。
しかし、一人暮らしだったりすると、これが止められずに、借金が一気に増えてしまう、家は不用品だらけということにもなりかねません。
司法書士に債務整理を断られる
借金の相談先として、司法書士に相談する人もいるのですが、手続きによっては司法書士は代理人になれないことも多いです。
まず、借金の金額が大きいと、司法書士の代理権の範囲外になってしまうのです。
また、司法書士は、地方裁判所の代理権を持たないため、自己破産や個人再生する場合には、書面作成者という立場になります。
特に個人再生手続きの場合には、個人再生委員が選任されるなどして、費用面が大きく変わってしまうので、相談先をしっかり検討した方が良いでしょう。
今回のケースで、司法書士が断った理由は、借金の金額なのか、相談者側の事情だったのか不明ではありますが、メンタルが弱っているところで、債務整理を断られてしまうと、結構厳しいものがあります。
職場の組合からの借り入れは上司に相談
借金の中には、職場の関連組合からの借り入れがありました。
公務員の共済組合等の借り入れも同じ問題があります。
貸金業者や金融機関でないこのような組合からの借り入れの場合、給与天引きでの返済がされていることが多いです。
これも借り入れなので、個人再生の対象として支払いを停止することになります。
会社の関連会社の場合には、個人再生手続きのことが職場に伝わることになるので、上司等に相談をしておく方が望ましいことが多いです。
本件においても、病気のこともあったため、上司に相談した上で手続きを進めています。
受任通知後の給与天引きが止まらない
一般の貸金業者や金融機関は、弁護士に依頼後、受任通知を送ることによって、返済が止まります。
このような受任通知は原則として、同時に全部の業者に送ります。
すなわち、すべての債務を、同時に返済停止とします。
しかし、給料からの天引き等で返済をしているような、職場関連の組合等では、受任通知を送ったにもかかわらず、給料天引きを止めないケースがあります。
このような組合からは、受任通知だけでは天引きを止めない、再生開始決定が出るまでは天引きし続けると書面で回答されるケースすらあります。
法的には、裁判所への個人再生の申し立て後、再生手続開始決定が出ることにより、債権者の返済は法的に禁止されることになります。
組合等の主張は、このように法的に禁止されるまでは強制的に給料からの天引きを続けるというものです。
給料天引きと偏頗弁済
破産手続きなどを取った場合、このような一部の債権者だけの返済は偏波弁済といわれます。
そのため、破産管財人から組合等に対して、返還請求を求めることも多いです。
しかし、個人再生手続きでは、破産管財人のように偏頗弁済を取り返す手続きがありません。
そのため、組合などは、給料天引きを続けて、少しでも自分の利益を確保しようとするわけです。
組合等の偏頗弁済のデメリット
このような対応を取る組合から借り入れがある場合に、個人再生を進めるうえでデメリットがあります。
まず、債務者としては、受任通知によって返済を止めたものの、組合からの給料天引きは止まらないため、手取り収入が本来より少ないことになります。
他の債権者の返済が止まることで、生活はラクになると思いますが、組合の給料天引きが続くので、本来の手取り収入より少ない金額での生活を余儀なくされます。
また、現在の裁判所での運用では、精算価値の算出の際に、この偏頗弁済分を加えるようにと言われています。
自己破産では、偏頗弁済は取り返すことになり、債権者への配当の原資となります。
そのため、個人再生でも、財産と同じように扱う運用がされ、清算価値に加算されることになるのです。
清算価値がかなり高いようなケースでは、この給料の天引きが続くことにより、偏頗弁済額の金額も多くなり、将来の支払い額も増えてしまうデメリットがあります。
給料天引きでは早い個人再生申立を
このようなデメリットを回避するためには、受任通知による返済停止後、早い段階で個人再生の申し立てをしてしまい、再生手続開始決定を貰う対応になります。
費用の関係で早期に申し立てできないケースもあるかと思いますが、早めの申し立てをしたほうがトータルの経済的利益は大きくなります。
再生計画案による減額
借金は約800万円でした。最低返済額は5分の1の160万円です。
財産から算出される清算価値は、これを下回っていました。そのため、この最低返済額160万円を返済する内容での再生計画案を作成し、認可されました。
借金が免除された金額は640万円以上となりました。
女性からの個人再生の依頼も多くありますので、借金でお困りの方はぜひご相談ください。